【2025年版】IT導入補助金の申請に確定申告書は必要?
IT導入補助金の申請を進める中で、「確定申告書って必要なの?」「どの年度の書類を出せばいいの?」と戸惑うことはありませんか?
補助金を受け取るには、事業の実態や経営状況を証明する書類として、確定申告書の提出が求められることがほとんどです。しかし、個人事業主と法人では必要な書類が異なり、記載内容やフォーマットにも注意が必要です。
本記事では、確定申告書が必要な理由から、書類の種類、タイミングの考え方、不備を防ぐための準備までをわかりやすく解説します。補助金申請をスムーズに進めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
IT導入補助金と確定申告の関係を理解しよう
IT導入補助金を申請する際には、事業実態を証明する公的な書類の提出が必要です。その中でも特に重要視されるのが「確定申告書類」です。
申請者が法人であっても個人事業主であっても、確定申告書は事業収支や営業実績を示す根拠として扱われます。公募要領にも「直近の確定申告書等の写し」と明記されており、申請時の必須書類といっても過言ではありません。
申請が初めてであれば、「どの申告年度が対象になるのか」「提出すべき様式は何か」といった点で迷うことも多いです。
この章では、申請に必要な確定申告書類の種類やその背景、選定のポイントを整理しながら、補助金採択を目指すための正しい理解を深めていきます。
補助金申請における確定申告書の役割とは
確定申告書は、申請者が実在する事業者であること、事業収益を伴って継続的な活動を行っていることを客観的に示す資料です。
特にIT導入補助金では、以下の2つの観点から重視されます。
・事業の継続性が証明できるか
・投資に見合う事業規模かどうかが判断できるか
申請者の信用性を裏づけるものとして、金融機関での融資審査にも活用される確定申告書は、補助金の審査においても類似の役割を果たします。
特に収支の記載欄や提出印の有無は重要視されます。電子申告で提出する場合には、受信通知や控えの印刷も忘れずに行いましょう。
なぜ確定申告書類が必要なのか?その理由と背景
IT導入補助金の審査では、「補助対象事業者としての実態確認」が欠かせません。制度を不正に利用しようとするケースを排除するため、事業開始からの収支が適切に申告されているかを確認する目的で、確定申告書類が求められています。
さらに、補助金制度の趣旨として「経営力向上やデジタル化による生産性の改善」があるため、過去の経営状況やITツール導入後の効果見込みを明確にする必要があります。申告書類の記載内容は、こうした見込みの根拠にもなります。
公募要領上も「直近の確定申告書の提出」が明記されており、事業開始後すぐの申請であっても、開業届や収支内訳書を補足資料として準備するなど、実態を示す工夫が重要です。
対象となる書類の種類とフォーマットに注意
提出が求められる書類の具体例は、事業形態によって異なります。
以下に個人事業主と法人それぞれの場合で必要となる主な確定申告関係書類を整理します。
区分 |
必須書類 |
補足資料 |
個人事業主 |
確定申告書B第一表(控) 収支内訳書(または青色申告決算書) |
住民票の写し |
法人 |
別表一・別表四(税務署受付印あり) 法人事業概況説明書 |
履歴事項全部証明書 決算報告書一式 |
注意したいのは、電子申告で提出した場合には「受信通知」または「電子申告の受付結果の写し」などが必要となる点です。紙ベースの控えと異なり、電子申告データには押印がないため、形式上の証明として提出が求められます。
また、補助対象経費の根拠として、申告書に記載された売上や利益とITツール導入計画の整合性が問われる場面もあります。税理士との相談を通じて、申告内容の整合を図っておくことも採択率を高める鍵となります。
個人事業主・法人別に必要な確定申告書類
IT導入補助金を申請する際、提出が求められる確定申告関係書類は、申請者の事業形態によって異なります。
ここでは、個人事業主と法人それぞれに必要な書類を整理し、見落としがちなポイントや注意点を詳しく解説します。
審査通過を目指すためにも、書類の不備は避けるべきです。特に電子申告の場合は、紙ベースとは違った準備が必要になりますので、丁寧に確認しておきましょう。
個人事業主の場合に必要な申告書と確認ポイント
個人事業主がIT導入補助金を申請する場合、確定申告書類を通じて事業実態を証明する必要があります。
主に以下の3点が必須書類として求められます。
書類名 |
注意点 |
確定申告書B(控) |
税務署の受付印または電子申告の受信通知が必要です。 |
所得税の納税証明書 |
発行から3か月以内が望ましく、最新年度分を準備する必要があります。税務署またはe-Taxで取得可能です。 |
本人確認書類 |
表記住所が最新であることを確認してください。 |
加えて、収支内訳書や青色申告決算書が必要となるケースもあります。特に収益の内訳やIT投資の関連性を補足説明する際に役立つため、提出を推奨します。
法人の場合に必要な決算書・申告書類一覧
法人が申請を行う際には、企業としての実体と財務内容を明らかにするため、以下の書類の提出が求められます。
書類名 |
補足説明 |
履歴事項全部証明書 |
発行から3か月以内の原本が必要です。法務局またはオンラインで取得できます。 |
法人税の納税証明書 |
税務署からの発行分で、直近の決算期に対応したものを用意します。 |
なお、貸借対照表・損益計算書、法人事業概況説明書については、支援事業者からの要請や補足説明のために提出を求められる場合があります。とくに経営実態がわかりにくい設立間もない法人では、これらの補足書類が申請の信頼性を高める鍵となります。
電子申告でもOK?写しの出力方法と注意点
電子申告で提出した書類も、IT導入補助金の申請において有効です。ただし、紙ベースの提出とは違い、以下のような形式上の注意点があります。
・提出用控えのPDF出力が必要
・税務署受付印の代わりに提出完了が分かる資料を添付
・ファイル名や形式に注意
また、電子申告では提出日や申告内容が画面で確認できる形式となっており、これが補助金審査において「提出証拠」として扱われます。提出形式に不安がある場合は、税理士や支援事業者に事前確認を依頼することが確実です。
確定申告書類と申請時期のズレに要注意
IT導入補助金の申請において、確定申告書類は非常に重要な提出書類のひとつですが、申請時期と申告年度との“ズレ”によって混乱が生じやすい点に注意が必要です。
「直近」と記載されていても、実際に使うべき年度が不明確だったり、まだ最新の申告が完了していない場合にどう対応すべきか悩む方も少なくありません。
ここでは、提出書類の選定を誤らないための考え方と、未申告時や過去分の扱いについて詳しく解説します。
申請タイミングと提出書類の会計年度の関係
IT導入補助金の申請時に提出する確定申告書は、「直近に終了した会計年度の申告分」が基本とされています。
ただし、「直近」とはあくまで申請時点で最終確定している会計年度を指します。
そのため、申請スケジュールと会計年度・決算期の関係を整理しておくことが重要です。
申請時期 |
基本的に必要な |
補足 |
2025年4月〜6月 |
2024年分(3月申告) |
個人:2024年分の確定申告書 |
2025年7月以降 |
申告済の最終年度 |
まだ2024年分が未申告の場合、 |
年度の区切りは、法人では決算期、個人では暦年(1月〜12月)で区切られるため、提出書類が「一年前のもの」になる場合もあります。
特に3月決算の法人や、確定申告期限直後の個人事業主は、タイミングによって最新申告分が用意できないこともあります。
最新年度分が未申告の場合はどうする?
申請時にまだ最新の確定申告が済んでいない場合でも、補助金の申請が不可能になるわけではありません。
このような場合は、直近で提出済の年度の申告書を提出することが認められるケースがあります。
たとえば、2025年4月に申請する際に2024年分の確定申告がまだ済んでいない場合、2023年分の確定申告書を提出して審査を進めることが可能です。
ただし、審査側が最新の事業実態を確認できないリスクがあるため、以下の点に留意する必要があります。
・前年との売上の増減に関する補足説明書類を添付する
・開業後初年度であれば、開業届と収入証明書類(請求書や契約書など)を合わせて提出する
最新の公募要領や事務局の指示に従って、必要に応じて補足資料を提出できるよう準備しておくことが重要です。
過去分の提出でも申請できるケースとは
IT導入補助金では、「最新の確定申告書類を原則としつつ、やむを得ない場合は過去分も認められる」取り扱いがあります。
これは特に、開業間もない事業者や決算期直後でまだ書類が整っていない法人に配慮された対応です。
過去分の申告書類を提出しても審査に通るためには、以下のポイントを押さえる必要があります。
・提出した年度が、事業実態を十分に証明できる内容であること
・ITツール導入計画と、過去の経営状況に一貫性があること
・過去のデータを補う説明資料(事業概要書、売上推移など)を添えること
一例として、開業2年目の個人事業主が2023年分の収支内訳書と合わせて、2024年の事業計画や売上見込みを添付したことで採択された事例もあります。
不備を防ぐための事前準備チェックリスト
IT導入補助金の申請では、提出書類に不備があると審査対象外となったり、修正依頼によりスケジュールが大幅に遅れるリスクがあります。
特に確定申告関連の書類は重要で、書類一式の整合性がとれていない場合や形式的な不備によって、採択が見送られたケースも少なくありません。
このセクションでは、申請時の代表的な不備事例を紹介しながら、チェックリスト形式で事前に確認しておきたいポイントを整理します。また、gBizIDやSECURITY ACTIONなど、制度上の必須登録事項とも連携させておくことで、スムーズな申請につながります。
よくある書類不備と採択見送りの事例
補助金申請では以下のような書類不備が頻出しています。
これらは審査において重大なマイナス要因となり、採択見送りの原因になります。
不備内容 |
よくある原因 |
採択に与える影響 |
確定申告書類に受付印がない |
電子申告の受信通知が |
申告の真正性が確認できないため却下 |
書類の日付や会計年度が |
決算期と申告書の年度が |
計画の正確性に疑義を持たれる |
提出書類の一部が欠落 |
控え書類のうち1枚が未添付 |
修正依頼・再提出で審査遅延 |
手書き書類が読みにくい |
フォーマットに沿っていない |
審査効率の低下・不備扱いの可能性 |
申請時には「印字が鮮明であるか」「所定の様式に記載されているか」「受付証明が添付されているか」を事前に必ず確認することが必要です。
税理士や支援事業者との連携でミスを防ぐ
確定申告関連の書類は、税理士やIT導入支援事業者との連携によって大きなトラブルを未然に防ぐことができます。
連携のポイントは以下の3つです。
・事前に申請スケジュールを共有する
・電子申告の出力形式を確認しておく
・補足資料や注釈を用意してもらう
支援事業者と連携すれば、申請書の記載内容や添付書類の整合性チェックも依頼でき、全体の完成度が高まります。
gBizID・SECURITY ACTIONとの関連性も確認
IT導入補助金を申請するには、gBizID(プライム)とSECURITY ACTIONの取得が必須要件となっています。
確定申告関連の書類と直接の関係はないものの、申請時には以下のような関連性や整合性が求められます。
項目 |
役割 |
注意点 |
gBizID |
電子申請のログイン認証 |
審査期間中もgBizIDの有効性を保つこと |
SECURITY ACTION |
セキュリティ対策の自己宣言 |
一つ星または二つ星の宣言書 |
登記・申告書類 |
事業者の実態証明 |
登記情報とgBizIDの事業者情報が |
これらの要件は形式的ではあるものの、申請時に一貫性が取れていないと、審査側で「運営体制や法令遵守への疑念」が生じる可能性があります。
情報の整合性がとれているかを確認することで、スムーズな交付決定につながります。
補助金活用後の確定申告における注意点
IT導入補助金を活用した後は、確定申告や決算処理においても適切な対応が求められます。
補助金は「収益」として扱われるため、経理処理を誤ると税務調査の対象になる恐れがあります。
特に補助金の入金時期や対象経費との仕訳処理は、税理士の助言を受けながら正しく対応することが重要です。
また、今後の補助金申請にも影響を与えるため、補助金の処理方法と事業計画の整合性に留意し、次のステップへとつなげる準備をしておきましょう。
補助金の収益計上と税務処理の基本
IT導入補助金は、交付決定後に支出した費用について、その一部が後日入金される仕組みです。この補助金は法人・個人を問わず「雑収入」として収益計上する必要があります。
計上のタイミングは、原則として補助金が入金された事業年度です。
補助金の扱い |
内容 |
記載科目 |
計上時期 |
入金された日を含む決算期 |
雑収入 |
計上金額 |
交付された実額(消費税込) |
補助金額 |
注意点 |
誤って未収計上しない |
対応年度に注意 |
補助金の性質上、費用支出と収入が異なる年度に跨るケースも多く、申告内容と仕訳が一致していないと修正が必要になる場合があります。
経費と補助金のバランスを保つ仕訳例
補助金を活用した場合、対応する経費と収益のバランスを正しく仕訳することが重要です。
たとえば、100万円のシステムを導入し、70万円が補助対象経費、うち50万円が補助金として交付された場合の基本的な仕訳は以下のようになります。
勘定科目 |
借方 |
貸方 |
工具器具備品(ソフトウェアなど) |
1,000,000円 |
- |
現金 |
- |
1,000,000円 |
補助金収入(雑収入) |
- |
500,000円 |
支払経費分(自己負担) |
- |
500,000円(損金) |
このように、全体の支出と補助金の交付金額を明確に分けて処理することで、税務上の整合性が保たれ、後日の確認作業もスムーズになります。
まとめ
IT導入補助金は、単年度で完結する制度ではありません。
将来的に再度申請を検討している事業者にとっては、過去の補助金活用実績が審査上の評価に影響します。補助金を受けて導入したITツールが、事業の発展にどう貢献したかを示せる資料があると有利です。
次回以降の申請に備えて以下のような準備をおすすめします。
・活用後の売上推移や業務効率化の実績を記録しておく
・収益・経費の仕訳内容が事業計画と整合しているか確認する
・補助対象外経費を無理に計上しない
これらの情報を整理することで、継続的なIT活用計画の裏付けとなり、将来の審査通過率向上につながります。

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