【2025年版】複数社連携IT導入枠の申請手順と成功のコツ
IT導入補助金の中でも注目を集めている「複数社連携IT導入枠」。
これは、同じ業種・地域・課題を共有する複数の中小企業が連携してITツールを導入することで、最大4,500万円までの補助が受けられる制度です。通常枠よりも補助額が高く、業務全体の効率化やデジタル化の加速に直結します。
しかし、その分要件や準備も複雑です。本記事では、複数社連携IT導入枠の仕組みや補助内容、申請条件、注意点までをわかりやすく解説します。この記事を読めば、自社が対象かどうか、どんな準備が必要かが明確になります。
複数社連携IT導入枠とは?制度の全体像を解説
複数社連携IT導入枠は、2025年度IT導入補助金の新たな申請枠であり、地域や業種ごとの課題を抱える中小企業が複数で連携し、共通のITツールを導入する際に活用できる制度です。
単独での申請よりも高額の補助金が支給され、最大4,500万円までの補助が受けられます。
連携体の代表となる「幹事企業」と、実際にITツールを導入する「構成員企業」が役割を分担しながら取り組むことが求められます。
この制度は、地域一体での業務改善や業界全体のDX推進を目的としており、次のような特徴を持ちます。
区分 |
通常枠 |
複数社連携IT導入枠 |
補助上限額 |
最大450万円 |
最大3,200万円(構成員あたり最大450万円) |
申請者数 |
単独企業 |
10者以上の企業連携体 |
幹事企業の設定 |
不要 |
必須(連携体の代表として申請を行う) |
補助対象のITツール |
通常の業務効率化ツール |
地域課題・業種課題を解決する共通ITツール |
通常枠との違いと創設の背景
通常枠との最大の違いは、連携企業の数と補助金額です。
通常枠では、1社ごとの業務効率化やIT導入が対象ですが、複数社連携枠では「業界全体」「地域全体」での改善がテーマとなります。そのため、補助金の規模も10倍に拡大されており、単独企業では導入が難しい高額なITツールやシステム導入が現実的になります。
この枠組みが創設された背景には、以下のような社会的課題があります。
・中小企業のデジタル化の遅れ
・地方都市での人材不足や事業継続リスク
・サプライチェーンの非効率性
こうした課題に対して、グループでの取り組みによって業界や地域単位で一気にIT化を推進する狙いがあります。特に物流・建設・飲食業など、業界横断的なデジタル基盤整備を進めたい分野での活用が期待されています。
中小企業・小規模事業者が連携する意義
複数社連携IT導入枠において、連携する最大の意義は「1社では不可能な高度なIT化」が実現できる点です。たとえば、次のような連携パターンがあります。
・商工会の会員企業が共通の予約管理システムを導入
・同業者団体が在庫連携・発注システムを導入
・地方自治体と連携して観光関連事業者が統一プラットフォームを導入
これにより、個別企業のIT化では実現できなかった以下の効果が見込まれます。
・顧客情報・販売データの一元管理
・業務プロセスの統一と効率化
・地域レベルでのデジタルデータ利活用
また、幹事企業がサポートすることで、IT導入に不慣れな構成企業も安心して申請・運用が可能となります。
この制度を活用すれば、地域密着型ビジネスでも本格的なDXを実現できます。申請の計画立案や連携体の構築には専門的な支援が不可欠です。
PULL-NETやMETAGATEでは、申請支援からITツールの選定、事業計画の作成まで、包括的なサポートを提供しています。迷ったら早めの相談が最も確実です。
対象となる事業者と要件のポイント
複数社連携IT導入枠を活用するには、通常枠以上に明確な構成要件が定められています。補助金申請の前に、参加できる事業者の条件や必要な体制を正しく理解しておくことが重要です。
以下では、制度を活用する上で特に注意すべき3つの要件を解説します。
連携体の構成条件と代表事業者の役割
複数社連携IT導入枠では、申請は1社ではできません。次のような連携体を組成する必要があります。
要件項目 |
内容 |
連携体構成企業数 |
10者以上の中小企業・小規模事業者 |
幹事企業 |
構成企業を代表して申請を行うリーダー企業が1社必要 |
役割分担 |
幹事企業が申請・実施管理、構成企業がITツール導入対象 |
幹事企業は、連携体全体の事務処理や進行管理を担う責任ある立場です。事務局とのやり取り、各種書類の提出、支援事業者との連携も幹事企業が一括して行います。幹事企業には経営基盤が安定しており、他企業との協力体制を構築できる体制が求められます。
業種や地域による制限の有無
複数社連携IT導入枠では、特定の業種や地域が対象外になることはありません。ただし、以下のような観点での一貫性が必要とされます。
・共通する地域課題または業種課題を解決する目的があること
・同一または類似する業種の事業者で構成されていること
・地理的に連携しやすいエリア内で構成されていること
たとえば、同一商店街や市内に所在する飲食業者や、同一建設業協会に属する中小建設会社など、実質的に連携可能な関係性が構築されているかが問われます。
また、連携体の連携実績があると採択率に好影響を与えるケースもあります。すでに共同で事業やイベントに取り組んだ実績がある場合は、積極的にアピールすることをおすすめします。
支援事業者との連携要件
複数社連携枠でも、IT導入支援事業者の存在は不可欠です。以下のような連携が必要になります。
項目 |
内容 |
IT導入支援事業者の役割 |
ツール選定、申請サポート、実績報告の補助などを行う |
連携体との関係 |
幹事企業および構成企業との密なコミュニケーションが必須 |
提案されるITツールの要件 |
登録済みの「IT導入補助金対象ツール」に限られる |
特に複数企業への共通導入となるため、支援事業者には業種・地域ごとの業務理解とスケーラブルな提案能力が求められます。過去の支援実績や補助金採択率を確認し、信頼できる支援事業者と早期に連携することが重要です。
申請準備の複雑さや幹事企業としての業務負担を考慮すると、専門家の支援を受けながら進めるのが最善の方法です。PULL-NETやMETAGATEでは、連携体の立ち上げからITツールの選定、補助金申請代行まで、トータルで支援しています。採択率を高め、スムーズな申請を実現するためにも、まずは無料診断で自社の可能性を確認してみてください。
補助金額・補助率と支援内容の詳細
複数社連携IT導入枠は、通常枠と比較して補助金額や対象範囲が大きく拡大されているのが特徴です。複数の中小企業が連携し、業務共通化や地域課題の解決を目的としたIT導入に対して、より手厚い支援を受けられます。
ここでは補助金額の上限や補助率、対象となる費用の具体例を整理し、導入効果を活かすポイントも紹介します。
補助上限額と補助率の早見表
補助金の上限額と補助率は、連携体の構成や導入内容によって異なります。以下の表に最新の情報をまとめました。
区分 |
補助上限額 |
補助率 |
備考 |
基盤導入経費 |
最大3,000万円 |
2/3以内 |
会計・受発注・決済等システム・クラウド利用料(最大2年分) |
ハードウェア導入 |
最大3,000万円 |
1/2以内 |
対象用途に限る(POSレジ、PC、タブレット等) |
消費動向等分析経費 |
最大3,000万円 |
2/3以内 |
消費動向分析システム、AIカメラ、POS等(クラウド利用料は最大1年分) |
事務費・専門家費 |
最大200万円 |
全額補助 |
連携体運営・事務局設置・専門家活用費など |
補助率は原則として中小企業は3分の2、小規模事業者は3分の2または4分の3とされており、申請内容によっては特例の加算も可能です。
対象となる費用とITツールの例
複数社連携枠で対象となる費用には、一般的なIT導入補助金と共通する要素に加えて、連携に特化した支出も認められています。
以下は主な費用の内訳です。
・ソフトウェア費用(クラウドシステム、ERP、EDI連携ツールなど)
・ハードウェア費用(業務用PC、業務用タブレット、POSレジなど)
・導入関連費(コンサルティング、マニュアル作成、運用トレーニングなど)
代表的なITツール例
ツール種別 |
例 |
会計システム |
クラウド会計freee、マネーフォワード会計など |
顧客管理(CRM) |
HubSpot、Salesforce |
受発注管理 |
BtoBプラットフォーム、クラウドEDI |
業種特化型 |
建設業向け原価管理ソフト、医療予約管理など |
なお、業務改善につながる「共通課題」を複数企業で解決するためのツールである必要があります。
活用事例に見る導入の効果
補助金を活用して複数社が連携したIT導入では、単なる効率化にとどまらず、新たな販路開拓や事業再構築にまでつながるケースが多く見られます。
以下に実際の導入事例を紹介します。
地域の5つのクリニックが共同で予約・診療管理システムを導入
→ 受付業務の共通化によりスタッフ工数を年間30%削減
複数の飲食店が同一CRMシステムを導入し、共通ポイント制度を導入
→ 顧客リピート率が1.7倍に向上し、月商15%アップ
製造業5社が連携して受注・在庫管理のクラウド化を実施
→ 在庫ロス削減により原価率改善、年間1,200万円のコスト削減
このように、単独では難しいデジタル施策も、連携により実現可能になります。業種や地域を超えてメリットを共有できる点が、複数社連携枠の最大の魅力です。
補助金を最大限に活用し、実効性あるIT導入を成功させるには、戦略的な計画と専門家の支援が不可欠です。
PULL-NETやMETAGATEでは、導入効果を最大化するツール提案や申請サポートを提供しています。無料診断から始められますので、補助金を無駄にしないためにも、まずはお気軽にご相談ください。
申請の流れとスケジュール
複数社連携IT導入枠の申請には、通常枠と異なる手続きやスケジュールが設定されています。特に「連携体」の申請には準備すべき書類が多く、代表事業者と構成事業者の間での調整も不可欠です。
ここでは、事前準備から申請、交付決定、補助金受給までの一連の流れを整理し、スケジュールに遅れないための対策も解説します。
必要な事前準備と提出書類
複数社連携枠では、通常の申請に加えて「連携体」としての書類が必要です。
準備不足による不備が原因で不採択になるケースもあるため、以下のリストをもとに万全の体制を整えましょう。
【提出に必要な主な事前準備】
・gBizIDプライム(代表事業者・構成事業者全員分)
・SECURITY ACTION(★一つ以上)
・みらデジ経営チェックの実施結果(PDF出力)
・連携体の協定書(定型様式あり)
・共同事業計画書(事業の分担、役割、IT導入の効果記載)
・支援事業者とのIT導入計画(ITツール名、費用、スケジュール)
・各社の法人確認書類(登記簿謄本等)
書類作成やデジタル認証の申請には時間を要するため、交付申請開始前の1か月以上前から準備を始めるのが理想です。
公募期間と申請締切の注意点
2025年度の公募は複数回に分けて行われる予定です。
現時点で発表されているスケジュールの一部を以下にまとめます。
公募回 |
申請受付開始 |
申請締切 |
採択結果公表予定 |
第1回 |
2025年4月25日(金) |
2025年6月16日(月) |
2025年7月中旬予定 |
第2回 |
未定(夏頃予定) |
未定(夏~秋予定) |
未定(締切約1か月後目安) |
【注意点】
・複数社連携枠は申請資料が多いため、通常枠より締切が早まることがある
・IT支援事業者との事前調整が必須。公募開始までにITツールと費用を確定しておく必要あり
・書類の不備があれば、1回の公募で不採択になるリスクが高い
申請締切ギリギリでの対応は危険です。代表事業者が主導し、2か月以上のスケジュール余裕を見て動き出すことを推奨します。
交付決定から実績報告・受給までの流れ
申請後、無事に交付決定されると、補助対象事業の実行に進むことができます。導入完了後には実績報告が必要となり、内容に問題がなければ補助金が振込まれます。
以下が全体の流れです。
【交付後のスケジュール例】
・交付決定通知の受領(約1か月後)
・ITツールの契約・納品・運用開始
・実績報告書の作成・提出
・事務局による確認・審査
・補助金の入金(約2〜3か月後)
【実績報告で必要なもの】
・契約書・納品書・請求書
・振込完了の証憑
・導入後の利用状況報告(スクリーンショットなど)
・成果指標(KPI)に関する報告資料
審査には1〜2か月を要することが多いため、補助金受領までには申請から5〜7か月程度かかることを見込む必要があります。
成功のポイントと失敗回避のコツ
複数社連携IT導入枠は、通常枠以上に高い補助率や上限額を誇りますが、採択されるには計画性と準備の質が求められます。
本章では、申請を成功に導くためのポイントと、不採択にならないために押さえるべき注意点を具体的に解説します。
採択されるための事業計画づくりのコツ
採択率を左右する最大の要素は「事業計画書の完成度」です。特に複数社連携枠では、連携体全体の目的が明確であることが重要です。
以下の観点を意識した計画づくりが採択への近道です。
・各社が抱える課題をデータで明示
・IT導入による業務改善の定量的効果(例:業務時間○%削減、売上○%向上)
・連携による相乗効果の説明(例:受発注データの一元管理による業務効率向上)
・事業継続性や将来の拡張性も盛り込む
また、KPI(成果指標)は以下のような具体的な数値で設定することが推奨されます。
KPI項目 |
現状 |
IT導入後目標 |
月間処理件数 |
1,000件 |
1,500件(150%) |
顧客対応時間 |
20時間/月 |
10時間/月(50%短縮) |
売上高 |
100万円 |
120万円(20%増) |
不採択になりやすいNG事例
申請時にありがちな失敗には共通点があります。
以下のような事例は、審査段階で大きな減点対象になります。
・IT導入の目的が「業務効率化」だけで終わっており、具体性がない
・支援事業者との打ち合わせ内容が曖昧、ツール選定の根拠が不明
・単なる設備投資(パソコン・サーバー導入)と誤解されている
・費用見積に根拠がなく、金額の妥当性が説明できない
・連携体構成に一貫性がなく、「なぜこの企業と連携するのか」の説明が弱い
これらの点をクリアするには、単に申請書類をそろえるのではなく、事業の根幹から見直す姿勢が不可欠です。
まとめ
複数社連携枠では、支援事業者との連携が成功の鍵を握ります。
選定にあたっては、以下の視点で比較検討してください。
・連携体での採択実績があるか
・複数業種にまたがるIT導入の知見があるか
・事業計画書の作成支援やスケジュール管理まで一括支援が可能か
また、以下のような無料サポートを活用することで、準備段階での負担軽減にもつながります。
サービス内容 |
提供例 |
無料診断 |
導入効果のシミュレーション |
書類作成支援 |
事業計画書テンプレート提供・添削 |
ツール選定支援 |
課題に合ったITツールの提案 |
複数社連携IT導入枠は、高額な補助を活用して一気に業務効率を引き上げる絶好のチャンスです。しかし、その反面、採択を勝ち取るためには高度な計画性と確実な準備が求められます。
「何から手を付ければよいかわからない」「自社に適した支援事業者が見つからない」といったお悩みをお持ちの方は、ぜひPULL-NETにご相談ください。経験豊富な専門チームが、連携体の組成から事業計画づくり、書類作成、ITツールの選定までワンストップでご支援いたします。
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